【B工事が高騰する背景とは? 飲食店など店舗出店をめぐるトラブル事例と対策】

 
     
  • 公開日:2024/12/29
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  • 最終更新日:2024/12/29

【B工事が高騰する背景とは? 飲食店など店舗出店をめぐるトラブル事例と対策】

こんにちは。KTXアーキラボ一級建築士事務所です。
弊社は、東京都港区兵庫県姫路市にオフィスを構え、飲食店・クリニック・物販店舗・美容院など幅広い業種の店舗デザインを行っております。近年、商業施設内のテナント出店において、設備工事費用の高騰が大きな課題となっています。特に「B工事」の負担金額が予想以上に膨れ上がり、トラブルに発展するケースが増加傾向にあります。

本記事では、弊社が設計を担当した事例を交えながら、B工事とは何か、またなぜ高額になりやすいのか、その背景と対策について解説いたします。商業施設に出店をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

▶️弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください


1. B工事とは何か?

商業施設内でテナント工事を行う際、主に下記の3種類に分類されます。

  • A工事:施設側(ビルオーナー・デベロッパー)が行い、施設側が負担する工事
  • B工事:施設側が手配し、テナントが費用を負担する工事
  • C工事:テナントが自ら業者を選び、テナントが費用を負担する工事

中でもB工事は、ビルの設備管理を担う施設指定の業者に依頼することが多く、テナント側が直接価格交渉できないという特徴があります。施設管理上の一貫性や安全性を担保するために指定業者に限定されることが多く、費用が高止まりしやすいのが問題です。


2. B工事が高騰する原因

(1) 指定業者しか選べない

商業施設では、建物全体のメンテナンス性や管理体制を優先するため、既に契約している特定の業者に工事を委託することが多くなります。テナント側は他の業者と相見積もりを取ることが難しく、価格競争原理が働きにくい環境に置かれがちです。

(2) 施設側もコスト削減が難しい

施設側としても、設備の構造を知り尽くしている既存の業者に依頼するほうが安心であり、仮に業者を切り替える場合はリスクが大きいです。その結果、交渉のハードルが高くなり、業者の言い値に近い形で費用が決定されやすくなります。

(3) 設備工事自体のコストが上昇

近年の建築材料費・人件費の高騰や、コロナ禍や国際情勢による物流コストの上昇が建設業界全体に影響を与えています。とりわけ飲食店では排気・給排水設備などの専門工事が必要となるため、費用負担がさらに大きくなりがちです。


3. 弊社が経験したトラブル事例

東京の寿司店

ある東京の商業施設に寿司店を新規出店する計画では、予算を大幅に上回るB工事費用が発生し、テナントオーナー様が出店の可否を再検討するほどの状況になりました。施設運営者と交渉した結果、施設側がB工事の大部分負担することになりました。

大阪のカフェバー

大阪の商業施設内にカフェバーを出店する計画でも、B工事費が当初の想定を遥かに超えてしまいました。結果的に出店自体が危ぶまれる事態になりましたが、施設運営者と何度も協議を行うことで、施設側が全額負担し、その代わり家賃を上げるということになり最終的には出店を実現できました。


4. B工事のコストが高騰する背景

ここ数年、商業施設内のテナント出店でB工事費用の高騰が顕著化している主な背景には、以下のような要因があります。

  1. 原材料費の高騰
    • 鉄鋼や木材、厨房機器の製造コスト上昇
    • 物流費用の上昇
  2. 人件費の上昇
    • 建設業界の人手不足による職人の人件費アップ
    • 安全対策や法令順守に伴うコスト増
  3. 施工条件の厳しさ
    • 商業施設では通常営業を止められないため、深夜・早朝工事が発生
    • 過密なスケジュールによる労務費の割増
  4. 指定業者制度の影響
    • 価格競争が起きにくい一方で、品質・安全を確保するための仕組みでもある

5. B工事高騰を抑えるためのポイント

(1) 早期のコミュニケーション

出店計画を立てる際は、設計段階から施設管理者と情報共有を行い、どこまでがB工事になり、どの程度の規模になりそうか、できるだけ早く把握することが大切です。

(2) 設計の最適化

弊社のような店舗デザイン事務所と協力し、厨房や空調のレイアウトプランを複数検討することで、不要な工事を最小限に抑えた設計が可能になります。

(3) 施設負担とテナント負担を明確化

契約前の段階で、B工事に含まれる範囲と費用負担の割合を明確に取り決めておくことも重要です。最近ではB工事の高騰により出店者が撤退するリスクを考慮し、施設側も柔軟に一部負担するケースが増えています。


6. KTXアーキラボ一級建築士事務所の強み

KTXアーキラボ一級建築士事務所は、東京都港区兵庫県姫路市を拠点に、以下のような店舗の設計・デザインを手がけております。

  • 飲食店(レストラン・カフェ・バーなど)
  • クリニック
  • 物販店
  • 美容院・サロン など

飲食店設計の豊富な実績

飲食店に必要な厨房レイアウト・排気・給排水設備などの知見を豊富に有し、B工事が絡む部分についても早期段階から施設側とのコミュニケーションをサポートいたします。

施工管理やコンサルティング

設計だけでなく、実際の施工管理コンサルティング業務もおこなっているため、複雑なB工事の内容・範囲を整理し、施設オーナーとの交渉においても頼りになるパートナーとしてサポートいたします。


まとめ

商業施設でのテナント出店におけるB工事の高騰問題は、建設業界全体のコスト上昇や、指定業者制度による価格競争の不在など、複数の要因が重なって生じています。特に飲食店出店の場合には、排気・厨房設備の工事が大きなウエイトを占め、想定を超える費用が発生するケースが少なくありません。

しかし、早い段階での計画立案や施設運営者との密なコミュニケーション、そして最適な設計プランの検討によって、B工事の負担を抑えられる可能性は十分にあります。弊社が過去に携わった東京の寿司店や大阪のカフェバーでも、施設側とテナント側が協議を重ね、一部費用負担の見直しを行うことで出店を実現させました。

KTXアーキラボ一級建築士事務所では、飲食店はもちろん、クリニック・物販店・美容院など幅広い分野での店舗設計・デザインをサポートしております。B工事の問題を含め、商業施設出店に関するお悩みやご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

▶️弊社の設計事例についてはコチラの作品集をご覧ください

2024.12.29


松本 哲哉

【この記事を書いた人 松本 哲哉】

KTXアーキラボ 代表・一級建築士・大阪芸術大学非常勤講師

2024年度イタリアDAC認定デザイナーランキング世界8位(日本国内1位)

▶ウィキペディア 松本哲哉(建築家)


【お問い合わせ先】

  • KTXアーキラボ一級建築士事務所
    • 東京都港区南麻布3-4-5 エスセナーリオ南麻布002
    • 兵庫県姫路市船丘町298-2 日新ビル2F
  • 事業内容
    • 飲食店・クリニック・物販店・美容院などの店舗デザイン・設計
    • 建築・内装工事施工
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